不法投棄の多い都市!大阪の実情と改善への取り組み
家具や家電といった不用品の不法投棄は全国で大きな問題となっています。不法投棄を行うと、その土地の持ち主に迷惑をかけるだけではなく、有害物質が飛散して深刻な環境汚染にもつながりかねません。その中でも大阪は不法投棄の件数が飛びぬけて多いことで知られています。
そこで、大阪における不法投棄の実情とその対策などについて解説をしていきます。
全国でも突出!大阪における不法投棄の件数
環境省はエアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の家電4品目における不法投棄の台数を調査していますが、2015年の総数は87,198台となっています。これを都道府県別に見た場合、最も不法投棄が多いのが大阪府です。その数は1万163台で、全国で唯一1万台を超えています。
しかも、単純に人口が多いだけが理由でもなく、たとえば、大阪府以上に人口が多い東京都では不法投棄の数は6,709台となっているのです。この数字を見ただけでも大阪での不法投棄がどれだけ多いかがわかるでしょう。
ちなみに、大阪府で不法投棄された家電の内訳を見てみると、エアコン38台、ブラウン管テレビ7,120台、液晶・プラズマテレビ55台、電気冷蔵庫・電気冷凍庫2,305台、電気洗濯機・電気乾燥機645台となっています。この中でブラウン管テレビの数が特に多いのは2011年に地上デジタル放送に移行して不用となった品が大量に発生したためです。
しかし、ブラウン管テレビには鉛などの有害物質が含まれており、それが雨水などで流出すると環境汚染の原因にもなってしまいます。実際、大阪では「畑や農園にテレビが捨てられていた」などという例が数多くあり、多大な被害を受けています。また、ブラウン管テレビに次いで不法投棄の数が多いのが電気冷蔵庫・電気冷凍庫です。これらも不法投棄をするとフロンガスなどの有害物質が放出されるうえに、発火による火災の原因にもなりかねません。
以上のように、大阪での不法投棄は深刻な状況であり、いかにしてその数を減らしていくかが大きな課題となっています。
不法投棄に対する各自治体の取り組み
不法投棄について軽く考えている人もいますが、これは立派な犯罪行為です。不法投棄を行うと逮捕されるケースもあり、その場合は5年以下の懲役または、1,000万円以下の罰金が科せられることになります。大阪府の各自治体ではホームページなどでこの事実をアピールし、住民の意識改善に努めています。
また、不法投棄を見つけた場合には通報を呼びかけており、これも対策のひとつです。通報の際には車のナンバーを確認することが犯人特定の有力な手がかりとなるとし、通報先としては「最寄りの警察署」「環境事業センター」「役所の自治推進課」などを挙げています。
さらに、職員などのパトロールや警告看板の設置などによって不法投棄を未然に防ぐ努力や、各自治体では不法投棄に対する独自の取り組みを行っています。
たとえば、東大阪市による不法投棄防止看板の貸し出しや防犯カメラの設置です。カメラの設置場所にはその存在を知らせる看板もセットで取りつけられており、これによって不法投棄の抑止効果が期待されています。
一方、堺市では土地の管理をしっかり行うことが不法投棄をなくす第一歩だとして、土地の所有者に雑草の除去や必要に応じての柵設置をホームページなどで呼びかけています。
一人ひとりの努力で大阪をきれいな街にしていこう!
ホームページでの呼びかけやパトロールといった地道な努力の他に、新しい条例を制定することも不法投棄の抑制策として期待されています。
たとえば、2014年10月1日には東大阪市で「東大阪市みんなで美しく住みよいまちをつくる条例」が施行されました。この条例にはポイ捨て禁止や回収容器の設置義務があります。さらに、廃棄物が投棄されないように土地を管理し、不法投棄があった場合は自らの責任において適正に処理をしなければならないと定めています。
もし、この条例に違反した場合には立ち入り検査をしたうえで、助言・指導を行うことになります。それでも状況が改善されなかった場合には是正勧告、是正命令、事実の公表といった具合に自治体の対応も厳しくなっていくわけです。
このように、不法投棄をされにくくする体制作りも大切ですが、もちろん一番のポイントとなるのが住民一人ひとりの心構えです。
まずは、家電や家具などの正しい処分方法を学びそれを実行していくことが大切といえます。たとえば、「家電リサイクル対象外の家電や家具は直接ゴミ処理場に持ち込む」「粗大ゴミの収集日に出す」といったことも方法のひとつです。
しかし、冷蔵庫のような重いものはどのように処分すればよいのかわからずに困っている人も多いでしょう。その場合は不用品回収業者に依頼すればスケジュールに合わせてトラックで回収にきてくれます。
このように、不用品回収について正しい知識を多くの人が身につければ、不法投棄をしようという人も減ってくるはずです。大阪の街を清潔で過ごしやすいものにするためにも、一人ひとりの意識を高めていきましょう。