色も形も違うガラス瓶がリサイクルに適している理由
ほとんどの地域で、資源ゴミは特別な回収日を設けて集められています。
資源ゴミの種類は様々ありますが、その中でも「空き瓶」について不思議に思ったことはありませんか?ペットボトルと違って色も形もバラバラなのに、なぜリサイクルできるのか…。そこで今回は、空き瓶がリサイクルに適している理由について説明していきます。
そのまま再利用できる
瓶に入った商品は、私たちの身近に意外と多くあります。ジュースや調味料、健康ドリンクにお酒など様々な商品が売られており、日常生活で毎日のように利用しているのではないでしょうか。これらの瓶がリサイクルに適している最大の理由は、「そのまま再利用できる」という点。例えばビール瓶の場合、空っぽになった瓶は専門業者に回収されて、再度ビールを詰めて出荷されるのです。瓶が損傷しない限り、数年間は繰り返し再利用することができます。
何の手も加えず同じ用途で再利用できるという特徴は、まさにリサイクルの原点。資源を減らすこともなく、ゴミとして処分しないので環境を汚すこともありません。「誰が使ったか分からない瓶を再利用するのはちょっと…」と感じる人もいるでしょうが、一度使った瓶は回収後に徹底的に洗浄殺菌されます。新品と変わりない状態で再利用されるので、衛生面でも全く問題ありません。
このように繰り返し再利用される空き瓶はリターナブル瓶と呼ばれ、ビール瓶や一升瓶、牛乳瓶など様々なタイプがあります。ビール瓶のように形状や色が特徴的でメーカーの所有品である瓶は同じ商品にしか使われませんが、一升瓶のようにメーカー所有ではない瓶なら他の商品を詰めて出荷することも可能です。
理想的な「エコロジーボトル」
空き瓶がリサイクルされる理由の一つに、「エコロジーボトル」の存在も挙げられます。エコロジーボトルとは1991年に開発された画期的なリサイクルボトルで、原料として90%以上カレットが利用されている瓶のことを指します。カレットとは、回収された後に砕かれた空き瓶の欠片のこと。カレットを原材料に加えることで、より少ない資源とコストで新しい瓶を作ることができるのです。つまり、カレットが90%使用されたエコロジーボトルは、100%天然資源だけで作られた瓶と比べて、製造に必要な資源とコストを大幅に節約できることになります。
瓶を作るために必要な石炭石やソーダ灰などの天然資源の消費量を抑えられるのはもちろん、瓶を作る際に必要となるエネルギー量も同様に抑えることができるのです。日本ガラスびん協会の情報によると、カレットの使用量が10%増加すると約2.5%熱効率を高められると公表されています。90%がカレットで作られているエコロジーボトルなら、瓶を作るために必要な重油や電力などのエネルギー消費量を大きく抑えられるというわけです。消費エネルギーが減ると排出される大気汚染物質の量も減少するため、地球環境への負担も軽減できます。
このように、様々な面でメリットがあるエコロジーボトルが開発されたことも、空き瓶のリサイクルが進む理由になっているのです。
中にはリサイクルできないものも
リサイクル品としては優秀なガラス瓶ですが、中にはリサイクルできないものもあります。
耐熱ガラス、乳白色のガラス、薬品が入っていた瓶などです。薬品の中には農薬や劇薬といったものから、化粧品も入ります。化粧品の成分には薬品が含まれていますし、化粧品の瓶は口が小さく作られているものが多いので、完全に洗浄することが難しいからです。あと、取り扱い時に危険が生じるので、割れた瓶もリサイクルを受け付けていない自治体があります。
ですが、不用品回収業者の中にはこういったガラスも引き取りに対応してくれる業者がありますので、量や種類を伝えた上で相談してみてください。割れた瓶の場合は取り扱いに注意を要しますので、新聞紙や古布でくるむなどして保管しておきましょう。
ガラスの空き瓶は優秀なリサイクル品
ガラスの空き瓶は種類も色もバラバラなので「リサイクルしにくいのではないか」というイメージがありますが、決してそんなことはありません。洗浄殺菌するだけでそのまま再利用できたり節約につながったりするので、幅広い用途がある優秀なリサイクル品なのです。