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廃棄した家電からリサイクルされる金属

2001年に家電リサイクル法という法律が施行されてからかなりの年月が経過しました。しかし、その期間内に家電を買い替えたり処分したりした経験がある人であれば、家電リサイクル法のことを聞いたことがある人もいると思いますが、そうでない人にはピンと来ないかもしれません。そこで、この記事では家電リサイクル法がつくられることになった背景と、家電リサイクル法の概要、リサイクルの工程や手続き方法などを紹介します。

家電リサイクル法と小型家電リサイクル法が生まれた背景

家電リサイクル法ができるまでは、家電のほとんどを地中に埋め立てて処分していました。しかし、日本のように狭い国土では埋め立てられる場所には限りがありますし、有害な物質が含まれる廃棄物を地中に埋めることは環境破壊につながります。また、廃棄物の中には、再生して使える貴重な資源が含まれています。そこで、廃棄量の減少と資源の有効活用のため、および環境破壊を防ぐために、2001年に「家電リサイクル法」が施行されました。「家電リサイクル法」は、白物家電と呼ばれる冷蔵庫(冷凍庫を含む)、洗濯機や衣類乾燥機、エアコンの室内機と室外機、テレビの4品目に適用されています。

これらは、各家庭が必ずと言ってよいほど所有している家電で、しかもサイズも大きいものがほとんどです。これら4品目の家電の重量だけで、存在する全ての家電重量の80%にも相当すると言われています。また、2013年には「小型家電リサイクル法」も始まりました。対象になる小型家電は、パソコン、携帯電話、ゲーム機、デジタルカメラなどの電気や電池で動く多くの製品が該当します。これらの製品には、金、銀、銅、レアメタル、鉄、アルミなどの有用な資源が含まれているものが多いために、こういった金属の再利用を目的とした法律です。

日本国内で年間に処分される小型家電は約65万トンにもなります。そこに含まれる有用な金属の重量はなんと約28万トンです。このように、貴重な資源をどんどん消費するばかりでは、地球上の資源は枯渇してしまいます。不要になった家電は、製造元のメーカーに引き取ってもらい、再生可能な部品や金属などを再利用して資源と環境を守る仕組みができあがりました。それが、「家電リサイクル法」と「小型家電リサイクル法」です。

家電の分解作業は手作業!

テレビのリサイクル処理工程は、まずは手作業で本体の解体が行われます。ブラウン管の場合は、背面カバーを外し、ブラウン管や基盤を取り外して分類し、ブラウン管は破砕してガラスや鉛に分別されます。液晶テレビやプラズマテレビは、基盤やパネル、蛍光管などに分別されます。そしてそれぞれが専用の処理工場へ運ばれ、加工処理され、再利用のための原材料に生まれ変わります。ブラウン管も薄型も、筐体のプラスチック部分は取り外して粉砕機に投入し、新たなプラスチックの原料となるプラスチックチップに加工されます。

洗濯機も手作業で分解されます。洗濯機には、洗濯槽の回転のバランスを取るために、バランスリングと呼ばれる液体が入っていますが、低温下での凍結防止と腐食防止のため塩水が使われています。機械で解体してしまうと塩水が漏れ出してしまうので、リサイクルのために取り出された金属が腐食したり錆びたりするおそれがあるため、手作業でバランスリングの塩水を抜いていきます。その後、洗濯槽を取り外してプラスチックやステンレスの洗濯槽を取り外します。外槽や洗濯槽に分け、磁力選別機で鉄を取り出し、過電流選別機で非鉄金属である銅やアルミを選別します。その後、比重選別機によりプラスチックを回収します。このように、複雑な処理工程を経てそれぞれの素材別にリサイクルする処理が進みます。

携帯電話の充電池にはコバルト、パソコンにはネオジムやタンタル、エアコンの室外機のモーターにはネオジムやジスプロシウムというレアメタルが含まれています。一つ一つの部品からは少量の金属しか取り出すことができませんが、文字通り希少な金属なので専用の処理場でまとめて処理することでまとまった量の金属を回収することができます。

家電リサイクル法での家電の処分の流れは?

私たち一般の消費者が家電リサイクル法に則って家電を処分する場合には、所定の手続きが必要です。家電を購入した店舗に依頼して引き取り手配をします。または、引越しなどで購入した店舗が遠方になった場合や、すでに店舗が存在しない場合などは、自治体が指定する処理場まで持ち込むことになります。いずれの場合も、家電1点ごとにリサイクル料金を支払わなければなりません。リサイクル料金は家電の種類や大きさによって異なるため、金額は各メーカーや量販店に確認しましょう。

目安ですが、家庭で使われている一般的な冷蔵庫であれば5000円前後、大きさにもよりますがテレビは4000円弱です。

冷蔵庫やエアコンなど大型の家電になると、自分で処理場まで運ぶにはトラックの手配も必要になるので、運搬や回収を代行してくれる業者に頼むのも一案です。手数料はかかりますが、不用品回収業者に依頼をすれば手間と労力をかけることなる家電を処理することができます。業者によってはエレベーターがないマンションでの搬出にも対応してもらうことができますし、まだ使える家電であれば買い取ってくれる業者もあります。

買い替えや引越しなどで不要になった家電を廃棄せずに、再利用してもらうこともある意味エコです。単身者世帯や高齢者世帯では動かすことも難しい大型家電を処分する際には、メーカーや量販店、不用品回収業者に相談をしてみてください。